ここが問題
米国の介護オンブズマン
-老人ホームの「番人」-
日本貿易振興会 ニューヨークセンター医療福祉部長 伊原 和人
市民の立場から介護サービスの質を確保
意外に思われるかもしれないが、米国の高齢者介護は、お世辞にも優れたものとはいえない。自己責任を重視する米国では、高齢者介護についても基本的に個人責任の考え方に立ち、ヨーロッパ諸国や日本のような公的な介護保障制度は存在しない。わずかに高齢者・障害者を対象とした医療保険制度であるメディケアで一部がカバーされるに過ぎず、老人ホームに入居した高齢者は、資産を使い尽くした段階で初めて、メディケイドと呼ばれる低所得者を対象とした一種の生活保護制度によってカバーされる。
高額な自己負担を余儀なくされることもあって、