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る。地域型福祉オンブズマンに期待する施設関係者は回答者の六四・三%に達し、権利擁護センター(四九・二%)や施設単独型オンブズマン(三七・五%)などを上回っている。

こうした地域型福祉オンブズマンの発展には自治体の理解とバックアップが欠かせない。住民と市町村が主役となり、責任を持って自己決定していく福祉自治体ネットワーク「福祉自治体ユニット」は九八年十二月十二日から二日間、横浜市で「権利擁護システム推進会議'98」を開催した。?日本社会福祉士会岩手県支部は九八年九月、岩手県介護福祉士会、同司法書士会、弁護士と連携して権利擁護センター「いわてぎんがねっと」を設立し電話相談などを実施、高齢者・障害者の権利侵害予防と自立支援を始めた。愛知県では十一月、十一の社会福祉法人計三五施設が参加する「愛知・名古屋ふくしネットワーク」と弁護士、社会福祉士、精神科医、大学教授ら十六人から成る「あいち福祉オンブズマン」が同時に発足、オンブズマンに施設が調査、評価、勧告・改善を委託する画期的な仕組みを開始した。北海道では九九年の春ごろに札幌、旭川を中心とする施設およそ十個所による福祉オンブズマン・ネットワークを立ち上げる準備が進められている。推進者である「語るべの森」建設準備委員会代表の横井寿之氏によれば「福祉事業の規制緩和とオンブズマン設置は車の両輪」である。

 

 

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特養ホームの廊下の壁に貼られたオンブズマン紹介のポスター。

 

 

市民社会が成熟していない日本では、"閉ざされた社会"で一気に行政からも施設からも自立した市民オンブズマンを作ることはむずかしい。「オンブズマン」いう言葉にアレルギー反応を起こす施設事業者や自治体が多い。「みんなでやれば怖くない」といった形の地域型福祉オンブズマンは、福祉途上国ニッポンの実情にふさわしい現実的なステップだろう。

 

 

 

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