日本財団 図書館


九二年にできた身体障害者のための東京都多摩更生園苦情処理委員会が初めてだが、地域に散在する複数の施設が共同運営で啓発し含うSネットは新しい試みだ。

 

 

権利擁護として期待できるシステム

052-1.gif

(平成9年度厚生科学研究「地域型『福祉オンブズマン』の展開と権利擁護システムの可能性に関する研究」)

 

 

福祉オンブズマンには自治体が設置する行政オンブズマン、福祉施設自身が内部監査的にセルフチェックする施設オンブズマンのほかに市民自身が主体となり、ボランティアとして活動する市民オンブズマンがある。Sネットは施設オンブズマンの一種である。障害者施設と特別養護老人ホームを対象とした国のオンブズマン調査(九八年三月実施)によると、福祉オンブズマンをすでに導入している施設はわずか二%。現在導入を検討している施設も四%にとどまっている。

高齢社会とは、国民の多くが加齢障害者となり、福祉が一部の人々のためではなく全ての市民のために必要となる社会。このため福祉サービスの質をチェックし、福祉を受ける権利を守るための社会システムが欠かせない。介護保険制度では苦情処理の窓口は国保連合会になっているが、厚生省は、それとは別に「地域福祉権利擁護事業(仮称)」の準備を進めている。都道府県社会福祉協議会に「地域福祉権利擁護センター(仮称)」を設置し、痴呆性高齢者や知的発達障害者、精神障害者で自己決定能力が低下していることによってさまざまなサービスを適切に利用することが困難で、かつ家族の支援もない人々を対象に有料で自立支援サービスをするというものだ。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION