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りの誘致をするPR作戦展開の真っ最中でしたから、私たちのような団体を"自分たちの志に合うすばらしい施設"として歓迎してくれ、PRにもひと役買ってくださいました。そして三つめは、ここを利用してくれたお年寄りが、"こんないい場所はない"と口コミで広げてくれたこと。これで信用が格段に高まりました。先日はバス旅行にも出かけたんですが、そこに民生委員の方も参加してくださり、利用者の方々の声を聞いて、そんなにいいところならと、戻ってから、ポンとテレビを贈与してくださったくらいなんですよ。狭い町だけに、良くも悪くも評判は伝わりやすいんです(笑)」

大野町は六五歳以上の占める割合が二三%と、高齢化社会をある意味で先取りした近未来の日本を象徴する町でもある。そんな中で、こうしたサロンが開設され、そして地元住民と一体となって、高齢者にやさしい町づくりを推進することは、ひとつの高齢化社会のモデルケースにもなるのではないかと久保田さんはいう。実際に、各地から『はっぴいわん』への視察は絶えないそうだ。

「各地にこういうサロンが広がってほしいというのが今の私たちの願い。そうすれば、お年寄りは今よりももっと幸せになれるはずですし、それは必ず、将来の自分たち自身のためにもなるはずですからね」

『はっぴいわん』は、草の根の市民団体の新しい可能性を見いだす、そんな団体になりそうな予感がする。

 

 

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桃稜高校、宝稜高校の生徒達を前に講演する代表の久保田さん。

 

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スタッフのご主人たちも参加して、バザーのための餅作り。

 

 

1997年

11月 当財団主催の研修会に参加し、地域の人たちの役に立つ団体を設立する決意を固める。

12月 空家になっていた実家でサロンを開設することを決め、友人に声をかけ、核となるメンバー3人で、設立準備に向けて動きはじめる。

1998年

2月 "シルバー楽園商店街"の実現をめざしている地元の大野町商店街振興組合に挨拶に出向き、協力関係を結ぶ。

3月 常滑市の在宅福祉国体に挨拶に出向き、協力関係を結ぶ。

4月 社会福祉協議会に挨拶に出向くとともに、大野町の開係者に手紙等でサロン開設の言を伝える。

5月9日 ふれ愛・生きがい・助け合いの会『はっぴいわん』発会式

 

愛知県常滑市大野町に本拠地を置く『はっぴいわん』は地域に暮らす高齢者に、自由におしゃべりを楽しむ場を提供するふれあいサロン。誰でも利用でき、気が向いたときに顔を出すシステムで、利用者同士が気楽に井戸端会議を楽しめる。サロンは月曜日から金曜目の午前10時〜午後4時まで開いており、利用料は1日200円(お茶、お菓子付き)。昼食代300円、コーヒー代100円。またサロンのほかにも、絵手紙や手相教室、革工芸、着付け、もめん工房などの教室「生きがいクラブ」も開設。こちらはサロン利用料プラス300円より。そのほか、バザーや季節の食事会、旅行などのイベント企画も盛りだくさん。

 

 

 

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