そして老人保健施設を辞めてから一週間後の一九九七年三月二三日、『にぎやか』を開設。木曜定休で、利用料は一日二五〇〇円(半日一五〇〇円)に昼食代五〇〇円、入浴代二〇〇円は別途請求とした。
「場所と人さえあれば、民間デイはだれでも開けるんです」
スタート間もないころは一日平均利用者が一人強と心細く、母親の助けを借りて一人でやっていたというが、現在は一〇人前後となり、スタッフも阪井さんを含めて常勤三名、非常勤三名、ボランティアは三〇名にまで増えた。
「ボランティアの最高齢は八三歳の近所のおばあちゃん。畑で採れた大根を漬物にして持って来てくれたり、座布団を縫って持って来てくれたりするんですよ。で、半日ここで座って、お茶を飲んだり、ご飯を食べたり…。見た目は利用者だけど、本人がボランティアというからボランティア(笑)。旦那さんに先立たれて寂しいからとここに遊びに来るおばあちゃんもいたりで、中にはまあ、利用者よりも手がかかるわという人もいるけど、まあ、みんなが楽しければいいんよ」と屈託ない。
また、開所時間にしても、原則は朝八時から夕方六時までだが、必要とあれば延長もするし、訪問サービスもショートステイもする。
「『にぎやか』は、ニーズがあれば何でもやっちゃうところなんです。とにかく、困ったことがあったら何でも言ってみてといっているから、利用者も容赦ありませんよ。夜中の十二時に電話をもらって、水まくらを持って行ったこともあるし」
逆にいえば、それぐらいのことをしなければ在宅の生活は支えられないとも、阪井さんは強調する。