日本財団 図書館


学校ボランティア

 

 

インテリアとしての森林

-森林内環境再現プロジェクトによる「ボランティア教育」

愛媛県西条農業高等学校林業科 教諭 松本 頼明

 

選択授業で、室内に森林を再現するというユニークな研究に取り組んでいる先生と八名の生徒たち。一人の高齢者の言葉がきっかけで研究成果を生かす場として高齢者施設を選んだことから、作業を通して生徒と高齢者に自然なふれあいが生まれ、この体験から研究をさらに地域社会のために生かそうという方向に発展しているという。今号では、授業を通して自然に「心の教育」がなされたともいえる事例を、ちょっとご紹介してみよう。(編集部)

 

033-1.gif

生徒たちの手による演出空間。

 

033-2.gif

老人ホームで「アクアテラリウム」製作中。

 

1 研究の概要

平成八年七月、林業科演習林での実習中、生徒の一人が「この山を部屋に持って帰りたい」ということを言い、このユニークな発想をもとにして選択授業専攻生八名による、「森林内環境室内再現プロジェクト」を開始した。まず、森を構成する因子の実習を利用したフィールドワークによって分析、緑・水・香り・明るさをキーワードとしてそれぞれにアプローチをかけ、室内に森林を再現した。

 

2 活動のきっかけ

地場の農業後継者研修会で私たちの研究成果を発表中、同席していた一人の高齢者が「これがあったら、山に行けんようになった私らでも、山の雰囲気が味わえるなあ」と言われた。このひと言が印象的で、生徒と共に「お年寄りはどのような生活をしているのだろうか」という疑問を持った。そこで実際に、西条市氷見にある有料老人ホーム、「熟年コミュニティせとうち」にて環境調査を行い、その結果、緑が少なく意

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION