外に不快な空間が多いことがわかり、研究成果をこの場所で生かそうということになった。
3 活動内容
平成九年五月、ホームの談話コーナーの一画約六・六m2をお借りして、シュロチクを中心とした観葉植物二〇鉢を空間に配置、水槽を利用したアクアテラリウムを作成し、さらに演習林にて伐採したヒノキの丸太を配置し「森林」を「設置」した。そして灌水や水槽管理のために、毎週火・木曜日の三・四時限目の選択授業を利用して継続してホームヘ出向くようになった。
4 研究活動が「ボランティア教育」に
最初はこのように研究のために老人ホームを訪れていた生徒たちだが、「今日も来てくれたん」「きれいにしてくれてありがとう」という言葉をかけられるなど高齢者とのふれあいが自然に生まれ、高齢者に喜ばれることに素直な喜びを感じるようになった。さらに管理作業のために来る自分たちとの交流によって、高齢者の生活が活性化すること、ホームの高齢者の生活環境をより良く改善することは"二四時間三六五日のボランティア"であることにも気付いたようである。また、高齢者の方々も研究に協力的で、「シュロテクにはたっぷり水をやらんといかんよ」など、高齢者の長年の経験から来る実用的な意見も聞くことができ、「さすがお年寄りは身近な生活の知恵をよく知っている。勉強になる」と生徒たちが教えられる場面も多く見られた。こうしたふれあいの結果、最近では課外にもホームを訪れる生徒が出てきた。
5 今後の展開
今回の活動では、学科の専門性とボランティア教育の融合ができたと考える。この経験を生かして、今年度は新たに病院内における恐怖感や不安感を森林効果により緩和することを目的とした活動を行い、高い評価を得ることができた。今後も「森林」を必要としている方々を対象とした活動を展開していきたいと考えている。