堀田 そのようですね。先日中国の高齢者問題の政府の担当者とパネルで一緒になったんですが、儒教が根付いているから違うでしょうと聞いたら、いやぁ、全然だめだと。もうみんな親も捨てて、都市に出たがる、どうにもなりませんと。
石川 そうでしょうね。毛沢東の時代には農民が土地を移るのはとても面倒くさくて、いわゆるパスポートを取って、ビザをもらってということ以上に大変だったんです。でも最近はそれも容易になって都会へと人が集まってきているんです。
堀田 (うなずく)
石川 中国学者の中で"中国はどこへ行く"がよく話題になります。よくわからないんですね。会社の方にも聞かれますが、もともと中国の人は割合世俗的な国民なんですよ。だから毛沢東のような極端なイデオロギー主義より、今の時代のほうが性格的には合っているんです。とにかく強い中国をつくる、それが清末以降外国に攻められて以来の課題だったわけですが、でも何をやってもうまくいかない。そこにロシア革命が起きて、レーニズムが入ってきた。彼らはそれに飛びついて中国共産党ができ、中華人民共和国ができたわけですが、でも豊かな中国はできなかった。それじゃだめだと出てきたのが、今の状態です。計画経済や労働による分配も公有制も変わってきて、株式取引所もできた。残ってるのは一党独裁ですが、これもだんだん変わってくるでしょう。そうした変貌の中でどんな高齢社会になるのか。ひとりっ子政策などもいずれ大きな影響を与えるでしょうね。
堀田 高齢者のほうは頼りにするつもりなのが、一方はひとりっ子で甘やかされて、いやだ、邪魔だとか。かなり極端な事態になる可能性もありますね。