出る。それなのに自己決定や尊厳などを無視して勝手に延命チューブだらけ、スパゲッティ状態にしてものすごいお金をかけているわけです。無駄な医療費を削減することは必要ですが、議論の組み立ての根本がまったく逆。でもそれを言うと、理想論はさておいてと言われて孤立しています(笑)。
石川 物質的な面の充実はもちろん必要だけれども、生きる張り合いを持たせるような施策、それを希望したときに対応できる状態をつくることが国としてとても大切なことですよ。国民全体に広く高齢祉会の本当の姿を知らせていく。成熟した社会としての高齢祉会を良くイメージしてもらう活動も一方でもっと力を入れないといけないんじゃないか。大学もそうした対応が今後要求されてくるでしょうね。
堀田 人々の多様化した欲求に対応できるような仕組みをつくる、それで初めて本当の高齢社会といえるんですね。
石川 そうした真の高齢社会の姿を国民にわかってもらう、知ってもらう。その段階が日本ではまだまだ欠けていて、そこを私はさわやか福祉財団の活動に期待しているんです。
堀田 まさに仕組みづくり、新しい生き方への提言が必要で、財団でもがんばってやっていこうと思っています。今の若い人は自分の人生設計もだいたい見えているんですが、問題はわれわれの世代です(笑)。旧来のピラミッド社会の考え方がまだ前提になっていて、でも社会は変化している。今がちょうど混乱期なんでしょうね。
世界に情報発信。心豊かな高齢社会に向けて
堀田 このように日本が高齢化でいろいろと経験している現状、問題、考え方は、大いに外にも発信していくべきだと思うんですが、特にまず東南アジアでしょうか。詳しくは知りませんが、韓国、台湾、中国なども高齢化がかなりのところまできていて、一方経済は日本の昭和四〇年代くらいで高度経済成長をどんどんめざしている。日本以上に高齢者が邪魔、お荷物という捉え方があるようですが、いかがでしょうか?