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少なくて中年若者が多い祉会から、筍型、筒型の高齢者が相対的に多い社会が構成されていきます。そこでの命、労働、学習、生き方などについての考え方は、従来のピラミッド型祉会とは明らかに違わないとおかしいんです。先ほどの九〇歳の女性にしても自分で生きがいを得て、人にも喜びを与えている。働いている人と価値はまったく変わらないんですね。

石川 たとえば年金制度でも、もっと根本に触れていけば違った展開にもなるんでしょうが、足りるかどうかという議論なら計算さえすれば判ることです。私はあまりこの分野に詳しくないので個人的な感想だけれど、今の方向はとても心配なんですよ。政府の高齢社会への対応、姿勢があまりに物質的な面に偏り過ぎているんじゃないか。基本となる高齢者一人ひとりの心や生き方の問題に触れないでいますと、一般の人はどう思うか。高齢祉会とは年金とか医療、福祉、そういうことだけ考えればいいと思われたら困るんですよ。

 

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堀田 私は今、医療保険制度や社会保障制度改革の審議会に入っておるんですが、まさに今おっしゃられたとおり、高齢者のためにやっているとは全然思えないようなこともあります。本来なら人の命をどうするのか、それがまず基本にあって議論が進むべきなのに、たとえば医療費はGDPの四五%までとか、そういう議論が財界や政界から

 

 

 

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