ど、公的福祉の枠組みから外れた人々へのサービスや、通常の市場機構を通じては供給がむずかしいサービスヘのニーズが高まるからだ。たとえば配食サービス(meals on wheels)の分野などでは、王立婦人ボランティアサービスといった福祉団体の活動によって支えられている面が大きいのである。
そこで、イギリスの非営利団体について少し触れておこう。非営利団体によるサービスは、量的には施設介護で全体の約二・五割、在宅介護では約三割である。特に在宅介護分野では、非営利団体の供給量が民間企業の供給量の約三倍となっているなど、その存在は大きい。
代表的な非営利団体としては、たとえば三〇〇〇人以上の職員、一二万人のボランティア、複数の海外拠点などを持つエイジ・コンサーン(Age Concern)がある。その活動内容は、高齢者向けの昼食会やカウンセリング、高齢者の権利向上のためのロビー活動など、多岐にわたる。そのほかにも、クロスロード・アクセス(Crossroads Access)、全国介護者協会(National Association of Careers)といった団体が有名だ。
イギリスから学ぶべきもの
わが国における公的介護保険の導入と、コミュニティケア改革とを直接比較することは適当ではないかもしれない。しかし民活や在宅シフト、社会保障費の削減などを目的とする点や、福祉の抜本的な制度改革である点など、共通点も少なくない。
その意味では、わが国がイギリスのコミュニティケア改革から学ぶべき点も大きいといえるだろう。そのひとつに、品質管理体制がある。たとえばナーシングホームの検査は、登録ホーム法(Registered Homes Act)等により、地区保健局(Health Authority)による定期的な抜き打ち検査(unannounced inspection)や居住者アンケート(resi-