日本財団 図書館


Q 二〇〇〇年四月までに、それぞれの市町村の体制作りや具体的な準備は間に合いますか?

山崎 間に合わなければ困ります(笑)。ただ市町村によって体制作りや準備の進め方に差があるのは確かですね。何年も前から介護や福祉の問題に取り組んで実績を重ねてきた市町村の職員らは介護保険が導入されても大した準備はいらないと言っています。ところが「介護って何?」と、介護保険の準備をゼロからスタートさせた市町村は確かに大変てしょう。

また、町村部や地方の地域はサービス基盤を整えやすい。しかし大都市部になると必要なサービスの量が多くなるから、いろいろなサービス供給のボリュームを増やすのにどうしても時間がかかってしまいます。

二〇〇〇年四月は大きな節目ですが、もともと二〇〇〇年の段階では、準備する在宅サービスは全体の需要の四割程度を想定しています。新ゴールドプランの在宅サービスの目標値も同じで全体の四割です。サービスの量がほぼそろって本当の意味で介護保険が完成されるのは二〇〇五年ころともいえます。介護保険がはじまるまでに市町村が準備しなければならない最低限の目標はありますが、それ以降も市町村はサービス基盤を整備していかなければなりません。そういう意味で、介護保険は毎年毎年サービスや仕組みの充実を図っていく「現在進行形」の制度です。

 

Q 営利、非営利を問わず多くの民間企業がサービス提供事業者として登場しないと、実際には介護保険のサービスを受けられないと思いますが……。

山崎 一番ポイントになるのは介護報酬です。サービスに見合うだけの介護報酬をどの水準に設定すれば、サービスが過少にならないか、過剰にならないか。今、その見極めを医療保険福祉審議会で行っているところです。身体介護の一時間当たりの報酬は、今年度が予算単価で二八九〇円です。厚生省は来年度、それを三七三〇円と大幅に引き上げるようにするため予算要求をしています。報酬が上がれば、その分、利用者負担が高くなるという考え方もありますが、

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION