日本財団 図書館


年前から、人と人の関係を広く見てみようと、北海道から沖縄まで、合計二〇〇カ所以上を回ってまとめたのが、今回の『日本「介護」列島』です。

 

主にどんな場所を回ったのですか?

ちょうどそのころ、新ゴールドプラン(P47注)と介護保険の問題が出てきました。私は二つとも、ベッド数やヘルパー数のつじつま合わせをしているだけで、介護の質、中身の問題が配慮されていないと感じました。介護の根本には何があるのか、喜ばれる介護とは何かを考えなければならないと…。最初の三年間はベッド数五〇以上の大規模施設、昨年から二年間は小規模の宅老所、グループホーム、老人マンションなどを回りました。

 

043-1.gif 043-2.gif 043-3.gif

 

時間管理が厳しい大規模福祉施設

 

介護施設にはどんな問題点があったのでしょうか?

大規模施設の限界が見えてきました。たとえば五〇人以上が入所している所では入浴するのも時間が限られています。ゆっくりと一時間お風呂に入ることはとてもできません。時間さえあれば自分で体を洗い、衣服の着脱もできるのに、早く早くとせかされ、人に手伝ってもらい、残存能力を失わせることになります。食事も作業療法も同じことです。外出も一人ではさせてもらえない。こうして老人の依存心は高まり、自立能力が落ちてきます。多くのことが時間管理、スケジュール管

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION