○人、合計一八○○人以上の人を取材してきましたが、十年目の時に、母が突然倒れたんです。母は私の故郷の名古屋に住んでいましたが、どうすればいいか全くわからず、途方に暮れました。それまで高齢者問題に取り組んでいながら、いざ自分のことになると、何一つわかっていなかったのです。
こうして母を私の東京の自宅に引き取った時、私の書くテーマも介護にすれば、自分なりの対応ができると思いました。ところが、それから二、三カ月たった時、母は亡くなってしまったんです。介護についての取材は宙に浮いたのですが、ここで投げ出すと、後ろめたさが付きまとう。取材を続けて一冊の本『寝たきりの春』(講談社)にまとめました。その過程で思い浮かんだ次のテーマが「介護とは何か。人と人との関係ではないのか」ということ。そこで五