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障害児の親になった体験から助け合いの必要性を痛感

浦上さんは二七歳の時に結婚。その一年三ケ月後にめでたく第一子が誕生したが、七ケ月検診の時に、その子が筋ジストロフィーという現代の医学では治療法のない難病に侵されていることが判明。これをきっかけに、困っている人が安心して生活していくための役に立ちたいとの思いを抱くようになったという。

「元々、福祉に対する関心は低いほうではなかったんですが、いざ、自分が障害児の親になってみると、いかに今の福祉政策が手薄か、いやというほど味わいましてね。困ったときに誰かに手伝ってもらいたいと思っても、行政も施設もダメ。ましてや近所の人にも頼めず、途方に暮れることが少なくありませんでした」

こうした体験から、高齢者や障害者とその介護者を助ける施設を作ろうと心に決めた浦上さんは、まずは資金の確保の必要性を感じて転職。志を同じくする医師とともに、地域に根差した医療を提供するための診療所『清心会』を開設する一方、健康や老後についての勉強会開催などを通じて、住民同士がふれあう場を提供した。そして六年。事業も一応安定し、当初の目標であった福祉施設への取り組みを開始しようとした浦上さんだったが、果たしてどう設立し、どう進めていけばいいものかと考えあぐねる日々が続いたという。

「そんな時に、たまたま、堀田理事長の講演会を拝聴する機会に恵まれ、地域の力を生かした市民互助型の助け合い組織があることを知りましてね。今まで私はハード

 

 

 

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