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次々と登場するカタカナ用語理解できてますか?

さて、読み物における問題といえば文字の大きさだけではない。多くの高齢者を困惑させるひとつの要因になっているのがカタカナ用語の氾濫だ。ある会社の広告などは、わずか二〇〇字余りの中に何と、フルカバー、ネットワーク、ホットライン、インフラ、リアルタイムなど十種類ものカタカナ用語が使ってあった。恐縮なことに、「ユニバーサルデザイン」「バリアフリー」「インフォームドコンセント」をはじめ、この特集でも先ほどからいくつもカタカナ用語が登場している。高齢者に直接関係のある福祉関連の用語にもこのようになぜか、やたらにカタカナが多い。デイサービス、ショートステイ、ケアマネージャー、ノーマライゼーションなどなど、例を挙げればきりがない。

ある高齢の知人などは、「最近はカタカナ用語が多くて、雑誌などを読んでいても意味がわからないことが多いから、思い切ってカタカナ語辞典を買ったのよ」と話していたが、今高齢者といわれる世代は、英語をはじめとする外国語に馴じんでいない人は多い。もちろんすでに日本語としての市民権を得ているカタカナ語も少なくないが、カタカナ言葉イコール目新しい、優れているという風潮が未だに残っているのは否めないだろう。

新聞などの読者投書欄でも「カナ言葉あふれ、高齢者は困惑」(朝日新聞九六年一〇月二九日)「高齢者を疎外するカタカナ用語」(朝日新聞九八年五月十四日)など、高齢者の嘆きを目にする機会は少なくない。行政などでも見直す動きは時に出てきているが、しかしこればかりは規制をかけるわけにもいかないだろう。

社会の国際化が進み、敢えて日本語に訳すとかえって意味がわかりづらかったり、妥当な日本語がない専門用語も増えてきた。使用側の配慮はもちろんだが、良くも悪くも高齢者の側もこうした用語に馴れる努力が要求される時代になってきたということか?

 

 

 

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