日本財団 図書館


"誰にとっても"便利、快適性をめざす ミニバスや低床式バス

そういう視点で見てみれば、確かに"ユニバーサルデザイン的発想"は少しずつ浸透しているようだ。

先日取材で訪れた東京都武蔵野市では、数年前から普通のバスでは到底走れないような道幅の狭い裏通りに、「ムーバス」と呼ばれる市営の小型循環バスを走らせている。武蔵野市交通対策課によれば、ムーバスが登場したのは一九九五年十一月のこと。現在、二路線があり、市内の交通不便地域や高齢者の多い地域を中心に循環している。定員は運転手を含めて二九名。床から一五センチのところに特注ステップを付けたり、バー式の手すりも多い。そもそもは高齢者対策で誕生したものだが、その仕様、システムは幅広い年齢層の間で好評だ。

「ある高齢者の市民から"自分は元気で、外にもどんどん出かけたいが、自転車に乗れないので駅に行きにくい"という訴えがありましてね。それがきっかけで導入が検討されるようになったんです。運行経路の確保がむずかしかったり、警察の許可が下りないなど、実現までには様々な障害もありましたが、おかげさまで、現在は一日に平均で一二〇〇名の利用者がありますし(交通対策課)。また、「これまで家から最寄りのバス停まで歩くのに一〇分近くかかったんだけど、ムーバスは裏通りをスイスイ走れるから家の近くまで来てもらえるのがありがたい。料金も百円と安いから、荷物の多いときなどは、もっぱらこれを利用してるのよしといった主婦らの声も聞かれる。

先ほど触れたノンステップ、低床式のバスも、実際に各運行会社で普及検討が進んでいるよう。若い人でさえ、あのバスの乗降口の高い段差が気にならないという人は少ないだろう。高齢になって脚力が衰えてくればなおさらのこと、利用しづらく、また危険でもある。これまでの社会では、そもそも高齢

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION