ユニバーサルデザインって何?
「バリアフリー」という言葉は日本でもおなじみになってきた。高齢者になっても、何らかの障害を持っていても安心して暮らせるように、日常生活のうえで障壁(バリア)となるものを除去(フリー)し、社会参加できるような状態をつくり上げようという動きのこと。社会の高齢化とともに、一九八○年代の初頭から住宅メーカーの広告などで、手すりを付けたり段差を解消した住宅など、バリアフリーを前面に打ち出したものが見受けられるようになった。そして今-。世界の流れはさらに「バリアフリーからユニバーサルデザイン」志向へと進んでいる。
では、ユニバーサルデザインとは何だろう。これはバリアフリーの概念をさらにつぎ進めたもので、老いも若きも障害者も健常者も「みんなが同じように簡便に使える」ことを基準にモノづくりなどを進めていこうという考え方。たとえば、出入り口の前に段差があってそこにスロープを付けるのはバリアフリーだが、初めから段差を作らない設計で考えるのはユニバーサルデサイン。ではもう一例。リフト付きバスがバリアフリーなら、ここ数年、導入されはじめたノンステップの低床式バスはユニバーサルデザインといわれる。
リフト付きバスは乗り降りに時間がかかるうえ、利用対象者が少ないなどの難点があるが、低床式バスなら大きく足を持ち上げにくい子ども、大きな荷物を持った人など、誰もが乗り降りがラクになる。おぼろげながらユニバーサルデザインなるものの発想、ご理解いただけただろうか?「弱者」を区別して保護、配慮するのではなく、同じ土俵で共通の仕様を考えていこうというものだ。