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変わったのはやはり田中角栄氏の頃からです。これは間違いない。ばらまかれた金で官僚も腐りはじめて族議員の無理な言い分もかなり通るようになってしまいました。

朝倉 官僚の方の信念がぐらついてしまわれた。

堀田 そう、志をなくしてしまったんですね。そもそも国民が何を望んでいるか、官僚はそんな情報を全然持っていないわけですよ。本来は政治家が汲み上げて国政に生かさなきゃいけないけど、これが官僚と結託して経済成長一本でしょ。ふれあいとか環境とか、国民の新しい欲求に全然対応できないわけです。国民にそっぽ向かれて、国民のためという自負が欠落してしまった。自負がなくて権限があると腐ります。でも権限というのは離したくない。

朝倉 絶対に。

 

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堀田 NPOだの、市民活動のボランティアだの自分たちの支配外ですからね。しかも税金がそのお陰で入らないとなれば、権限は縮む、予算は減る、そりゃもう抵抗するに決まってるんです。これをどう我々が崩すか。やはり市民の側も新しい社会の枠組みを創ることに参画してこないとだめなんです。政治でもボランティアでもみんな一緒です。

朝倉 阪神大震災の一年後でしたか、日赤が新聞で義援金を取り扱う窓口業務の経費を支援金の中から出すことについての説明を含めた一面広告を出していたんです。日本人の中には非営利の市民活動に対する認識がまだ薄いところがありますね。活動にかかる経費を自分たちの義援金から出すのは心情的に許さないといった単純な風潮があり過ぎませんか?

堀田 ボランティアはただ働きであって、非営利でいいことやってくれるのはいいけど、お金を払うのは別だとか。

朝倉 たとえば日本人がアメリカに来て、ボランティアでいいから会社で働かせてくれといいます。でもアメリカではしっかり断る場合も多いですね。その人の行為の責任は誰が取るのか、と。いいこと、ただなんだから受け入れられて当然という考え方は直すべきだと思うんです。

堀田 やってもらうという甘えの

 

 

 

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