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自由にサービスを選択し、契約することをめざす介護保険制度での介護サービスについても当然に対象となる。

中間報告での柱は二つである。一つは、契約過程に関する規定で、事業者が1]重要な情報について提供義務に違反したり(伝えなかった)、不実のことを告げた(うそをいった)場合、あるいは2]威迫・困惑行為を行った(脅迫めいた行為やだますなど)場合に締結した契約は無効にできる。また、消費者が予測することができないような契約条項(不意打ち条項)は契約の内容とならない。もう一つは、契約内容に関する規定で、消費者に不当に不利益な契約条項(不当条項)は無効にできる。また、不当条項リストの作成や契約条項の明確な表現が求められる。

消費者契約法は消費者と事業者の間で締結される契約(消費者契約)のすべてを対象とする包括的なルールであり、その意味ではサービス取引版PL(製造者責任)法ともいわれる重要な法案である。しかし、消費者が高齢者である場合、その特有な問題(特別な保護)を本法の中で解決していくには限界がある。たとえば、高齢者用住宅、有料老人ホーム、高齢者向け介護用品や介護サービスなどでは、一般消費者を対象とする本法のほかに利用者(高齢者)の特性に合わせた特別なルールづくりが必要となろう。

 

社会福祉制度の抜本見直し -NPO法制定と社会福祉事業法の改正

一方、サービス供給主体の要件整備の面では、本年三月に成立した「特定非営利活動促進法(NPO法)」がある。現在、市民活動を行う団体の多くは任意団体で、団体名義で不動産登記や銀行口座開設ができないなどの制約があるが、本法により法人格を付与することで市民活動の発展を促す環境が広がった。介護保険制度では、サービス主体の種別を問

 

 

 

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