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高度医療の波が押し寄せているだけに最新技術をできる若さがないと「ついていけない」だろう。

佐藤さんは甲府の高校を卒業後、県立の高等看護学院で四年間学び、二二歳で看護婦になった。県立病院に勤めて医師と結婚、夫の転勤について県外を回ったあと甲府にもどってから訪問看護婦に"とらばーゆ(転職)"した。彼女のステーションでは看護婦全員が介護支援専門員(ケアマネージャー)の試験を受けた。病気がちなお年寄りの在宅ケアには医療の裏付けがある訪間サービスが欠かせない。佐藤さんのような若くてパワフルな訪問看護婦がたくさんいれば心強い。

 

「ほどこし」から「顧客満足度」への意識転換

「在宅」の時代を先取りする若い女医さんも紹介しよう。長崎県大村市の石田一美さん(三七歳)。昨年五月、大村市内にリハビリとデイケアができる診療所秋櫻(こすもす)医院をオープンした。道路からのアフローチから内部まですべて車イスで動けるようにしただけでなくバリアフリーの浴室を設けるなど、障害者や高齢者が暮らしやすいよう増改築を考える人たちの参考になるバリアフリーのモデル建築だ。バリアフリーの浴室は浴槽、壁、天井まで檜造り。お年寄りの気持ちを配慮して浴室内の手すりも木製にしたという。総檜造りのバリアフリー浴室は極めて珍しい。体験入浴もでき「患者さんの家族が住宅のバリアフリー改装をするときの参考にしてもらっている」。午後の時間は往診に飛び回るホームドクターである。

*バリアフリー…障害を持った方や高齢者にもやさしい環境づくり、だれもが不自由なく暮らせる社会を実現するために、建造物、道路、生活用品等々さまざまな分野で工夫を凝らし、そのための手だてをすること。

福祉職の分野でも新しい世代がリーダーシップを取りはじめている。岐阜県美濃加茂市の社会福祉法人、慈恵会で総合企画部長を務める林和美さん(三九歳)は、その一人。福祉の現場と理論の両方に精通しているため県の介護支援専門員指導者に選ばれた。おかげで県内はもとより全国各地で開かれるケアマネージャー試験受験講座や研修会にひっぱりだこになっている。

 

 

 

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