いつもTシャツとショートパンツという服装。「訪問看護は力仕事。患者さんを抱き起こす肉体労働も、この格好のほうがいいんです」と明るく笑う。雨の日も雪の日も軽快なスタイルで甲府市内だけでなく韮崎市や敷島町に住む患者さんのお宅へと四輪駆動車を飛ばすのだ。在宅患者の大半は脳梗塞の高齢者だが、ここでは筋ジストロフィーやパーキンソン病など難病の人を一〇人も抱え、がん末期の患者八人の訪問看護もしている。
市内の病院が倒産したり入院病棟を減らしたりする病院不況のあおりを受け、在宅患者は増える一方。「容体が急変!」の急報を聞くと医師を呼ぶ必要があるか看護婦だけで処置できるのか、その場でとっさに判断する。「その分やりがいがあるんです」
判断力を要する職種とあってステーションの所長は五、六〇代が多く、若くても四〇代。全国にはおよそ二八○○ケ所の中で佐藤さんは最も若い所長の一人だ。訪問看護の現場にも在宅酸素療法、在宅透析など