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若さがリードする福祉の現場

在宅高齢者とその家族を支えるためのゴールドプランの一環として、国は平成一一年度を目標に全国に五〇〇〇ケ所の老人訪問看護ステーションをつくることになっている。数人の看護職を使って在宅老人の医療管理に当たる要職だけにステーションの所長は経験豊かなベテラン看護婦がほとんどだが、山梨県甲府市にある荒川訪問看護ステーションは違う。所長の佐藤里恵さんは三三歳になったばかり。二八歳から三七歳まで九人の看護婦さんを指揮して年間三六五日、二四時間体制で六〇人の在宅患者の巡回訪問を切り盛りする。

 

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若さと行動力で地域を支える佐藤里恵さん。

 

いつもTシャツとショートパンツという服装。「訪問看護は力仕事。患者さんを抱き起こす肉体労働も、この格好のほうがいいんです」と明るく笑う。雨の日も雪の日も軽快なスタイルで甲府市内だけでなく韮崎市や敷島町に住む患者さんのお宅へと四輪駆動車を飛ばすのだ。在宅患者の大半は脳梗塞の高齢者だが、ここでは筋ジストロフィーやパーキンソン病など難病の人を一〇人も抱え、がん末期の患者八人の訪問看護もしている。

市内の病院が倒産したり入院病棟を減らしたりする病院不況のあおりを受け、在宅患者は増える一方。「容体が急変!」の急報を聞くと医師を呼ぶ必要があるか看護婦だけで処置できるのか、その場でとっさに判断する。「その分やりがいがあるんです」

判断力を要する職種とあってステーションの所長は五、六〇代が多く、若くても四〇代。全国にはおよそ二八○○ケ所の中で佐藤さんは最も若い所長の一人だ。訪問看護の現場にも在宅酸素療法、在宅透析など

 

 

 

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