を実施するための財源は税金ですが、地方ほど財政面は厳しい。また介護保険にしても、地方の場合、移動に時間がかかるなど効率が悪いので、民間のサービスも参入しづらいでしょう。そう考えると、おのずと行政ができることには質、量ともに限度があります。でも、核家族化が進み、社会も変化している。この流れを変えることはできません。中原町は人口九干人弱の田舎町ですが、こうした田舎こそ、住民同士がそれぞれ日常の中でできる範囲で協力し合わないとダメなんです」
確かに、高齢者の日常生活や生きがいのある老後を過ごすための手助けとなると、その需要は無限に近いほどある。そうして、自分たちでできることは自分たちでやり、それ以上の専門的な事を行政が行えば、全体的なサービスが増え、住みやすい町づくりも可能になるに違いない。
「お年寄りの中には、行政がどんな福祉サービスを行っているのか、よく知らない人も多いので、今後は活動を通じて、行政のサービスをどんなふうに利用していけばいいのかなどもアドバイスしていければと思っています。そして、行政もボランティアもどちらも充実して、その良いとこうでの提携・協力関係が形成される。そんな町づくりをめざして、地域を活性化させていきたいと思っています」
平野さんいわく、「中原たすけあいの会は、まだ、双葉の芽が出たところ」。五年で花を咲かせるのが目標というが、大きな花が開くことを期待したい。
平成6年
10月 町内ボランティアグループのリーダーと食生活改善推進委員のメンバー10名で、高齢社会の勉強会を開始。
平成7年
9月 社会福祉協議会(社協)に対して、独居老入などを対象にした「ふれあい昼食」の企画を提案。社協が中心になって、過1回の「ふれあい昼食」がはじまる。
平成8年
5月 「ふれあい昼食」をより高齢者のニーズに合ったものにするため、手作り弁当を贈るボランティアグループ「あすなろ会」を発足。月1回の提供をはじめる。
平成9年
5月 「ふれあい昼食」や「あすなろ会」の活動を通じて、住民相互による助け合いの会の必要性を痛感。準備委員16名にて、設立準備委員会を発足させて勉強会を開催するとともに、福岡県内等の既設団体を見学。また行政、社協、老人保健施設、民生委員などにも、設立の旨を伝える。
12月14日 町役場にて設立総会を開催。正会員50名で、『中原たすけあいの会』が発足。
佐賀県三養基郡中原町に本拠地を置く『中原たすけあいの会』は、「生きがいを持って健康で安心して暮らしていくことができる地域社会づくり」を実現するために設立された会員制の有償互助組織。会は、サービスの受け手と担い手が対等の立場で運営。サービス内容は、会員の食事作り、介護、病院への付き添い、若手会員の子育て支援などが中心。組織は正会員と賛助会員からなり、正会員は入会時に出資金1万円を拠出(退会時には返還)、サービスをすることも受けることもできる。サービス提供は1時間5点(1点100円)で、会発行の「たすけあい切符」で決済。サービス提供者は、この切符を現金化するか時間預託するかを選択できる。この際、2割分は事務所運営費となる。賛助会員は年会費個人1口3000円、法人同5000円。