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男性の場合、会社人間として仕事一筋に生き、定年後でもなかなか意識転換ができず、地域社会とのつながりを持とうとしない人、持てない人が多い中、平野さんの決断はなんと潔いことか。

「活動をはじめてから気付いたことなんですが、会社のように組織の一員として仕事をしていると、成果というのはなかなか見えにくいもの。でも、こうした活動は結果がすぐに出るのが新鮮でした。自分のできる範囲のちょっとした手助けで相手が喜んでくれるし、そのことが自分の生きがいにもつながるものなんだなと。これはやってみないとわからない良さですね」

こうした一連の発言は、男性諸氏よ、もっと、地域に飛び込もうという平野さんからの呼びかけでもあるのだろう。

 

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一人暮らし高齢者宅ヘプレゼントするペン立てを製作中の会員のみなさん。

 

 

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県内の病院の痴ほう病棟(ゆりの木苑)で研修のひとコマ。

 

田舎町ほど住民同士の助け合いが大切です

設立から八ケ月たった八月末の時点で、『中原たすけあいの会』の会員数は正会員七八名、賛助会員五八名。平均活動時間は月五〇時間ほどと、まだまだヨチヨチ歩きだが、平野さんは決して悲観はしていない。

「このような活動に最初から積極的に参加する人は〇・三%といわれていますし、田舎ほど他人に家の中を知られたくないという気持ちが強いこともありますから、時間がかかるのは当初から覚悟のうえ。でも、"夫婦二人暮らしで、どちらかが病気になったらと思うと夜も眠れないくらい心配だったが、こうした会ができて安心した"という声をいただいたり、民生委員やヘルパーさんから紹介されて入会する人も増えつつあるなど、静かな広がりは感じています」

 

 

 

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