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祉財団主催のリーダー研修会にも参加、そうした活動を通じて、年を取っても、体が不自由になっても、住み慣れた町や家で生きがいを持って生活を続けていくには、家族だけでなく、同じ地域社会に住む人々がカを合わせ、手助けし、支え合っていかなければならないと痛感するようになったという。そして、地域住民相互で助け合う会員制互助組織の設立に向けて走り出す決意を固め、三七年間勤めた県庁を五五歳で退職。

「仕事をしながら団体を立ち上げることはむずかしいですからね。そりゃあ、経済的には厳しくなりましたよ。でも、子供も独り立ちしたことですし、もともと、第二の入生は自分が納得できることをして、社会とかかわっていきたいという思いが強かったもんですから、いい機会だと思いまして。周りからは"馬鹿ばい"といわれましたが、まあ、たまにはこういう変わり者がいてもいいんじゃないですか(笑)」

確かに、福祉といえばまだまだ女性が中心で、男性がこうした会の代表になる例は少ないが、「高齢社会は他人事ではなく自分自身のこと」というのが平野さんの信念、「自分だけは大丈夫だと思っている人は多いですよね。特に男性は。"うちには家内がいるから"と、妻に先立たれることなどこれっぽっちも想像していない。だけど、そういう状況に陥る可能性は決して少なくないし、そうなったときの男の一人暮らしは悲劇ですよ」

長生きを幸せと感じることができるような地域社会をつくり上げることは、自分のためでもある。いわれてみれば当たり前のことだが、そういう意識を持っている人はまだまだ少ないのが現実。特に

 

 

 

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