平成六年一一月のことです。私たちの商店街の核店舗の役割を担っていたスーパーマーケットが退店してしまいました。人通りは減り、売り上げも各店ともに目に見えるほどに減っていきます。退店したマーケットの荒れた空き店舗は、街をゴーストタウンにするのに十分の存在でした。
私たち、商店街の有志でその空き店舗を借り受けて「日曜市」を開きました。一年間の事業でしたが、回を重ねていくうちに地域のお年寄りとも顔見知りになっていきました。時には一週間、二週間とお顔が見えないときがあります。いろいろな情報をたどって安否を確認すると入院されているということもありました。入院される前の二、三日は、お買い物にも困る状態だったという話を聞くにつけ、「何とかしなくては」との意見がメンバーの中から出はじめるようになりました。
私たちはこの間にも、空き店舗を取り壊して「パティオ事業」(広場を持った商業施設作り)を進めていくべく計画を作っていましたので、この事業の大きな柱の一つとして、高齢者に対する「ご用聞きサービス」の実施を決定しました。
平成九年一二月十二日、私たちの「パティオくらもと」がオープンしました。早速「ご用聞き会員」の登録を開始したところ、二五〇名の会員が集まりました。ご用のある方には、現場の売場からもう一度電話を入れ、注文の取りまとめをして配達に出ますが、この時、薬や使い捨てカイロ等のついでの買い物も行います。また、お宅に伺えば、ゴミの処分やハガキの投函などいろいろな小さなお手伝いもします。
活動をはじめてみて、当地区にはこうした日常生活支援のサービスを必要とされている高齢者の方が本当にたくさんいらっしゃるこ