しかし生活が苦しいのに、酒を買う金はあるのだろうか、と筆者は疑問に思った。酒を飲み続ける人は、男性で、無職でとなると、当然収入は乏しいだろう。だが、乏しい中から酒代を工面するのかというとそうではなかった。手元のすべての収入を酒につぎ込んでしまうのだという。生活保護を受けても、せっかくの手当てを全部、飲酒に費やす。光熱費も、食費もない。とにかく、酒に、入っただけの金を使ってしまう。酒を買う金はあるのかというより、酒を買う金しかないといった状況に陥っていく。
飲み続けるうちに、これではいけないと気が付いた人は、断酒会に入って、アルコールを絶とうとがんばるようになる人もいるが、一人ではなかなか禁酒はできない。断酒会で、仲間がいると思うと、そこでできた友人との付き合いが、生きがいにもなる。