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しかし生活が苦しいのに、酒を買う金はあるのだろうか、と筆者は疑問に思った。酒を飲み続ける人は、男性で、無職でとなると、当然収入は乏しいだろう。だが、乏しい中から酒代を工面するのかというとそうではなかった。手元のすべての収入を酒につぎ込んでしまうのだという。生活保護を受けても、せっかくの手当てを全部、飲酒に費やす。光熱費も、食費もない。とにかく、酒に、入っただけの金を使ってしまう。酒を買う金はあるのかというより、酒を買う金しかないといった状況に陥っていく。

飲み続けるうちに、これではいけないと気が付いた人は、断酒会に入って、アルコールを絶とうとがんばるようになる人もいるが、一人ではなかなか禁酒はできない。断酒会で、仲間がいると思うと、そこでできた友人との付き合いが、生きがいにもなる。

 

<孤独死 年齢別死因別死者数>

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( )内は死者総数=243人 平成10年8月24日現在

*本調査では兵庫県警が除外している仮設住居の戸外で死亡した人も「孤独死」の対象としている。

(神戸大学医学部法医学教室 上野易弘助教授の調査資料より)

 

 

 

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