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施設に用紙を郵送しただけで回答をもらえたのはわずか五件。そこでメンバーの一人が電話をかけまくって返送を頼み、最後にはメンバー全員が手分けして回収に回り、四九施設を掲載した。

事業には資金が必要だ。幸い、社会福祉・医療事業団から三六〇万円の助成を受けることができた。この助成は「新ゴールドプラン」の推進に役立つ民間のプロジェクトに資金援助するもので、事業内容には1]独創性があり2]先駆的で3]普遍性がなくては受けられない。「草の根」のプロジェクトは、この三つの条件を備えていた。

 

インターネットを活用している人はまだまだ少ない

ソフトウエアの設計で試行錯誤を続けた後、九七年三月には最終完成版のホームページをインターネット上に公開。このホームベージのアクセス数(閲覧した件数)は、これまでの一年四ケ月で五二〇〇件余りにのぼる。この数字が多いか少ないかは議論の分かれるところだろうが、一番のネックはインターネットを操作し、活用できる人がまだまだ少ないということだ。せっかくのデータベースが"宝の持ち腐れ"になってしまう。宇都宮市内にある一四の在宅介護支援センターでもパソコンを十分活用しているところはまだないという。入力した膨大な情報も古くなる。「草の根」では九八年度中に内容更新をし、項目も追加する計画だ。

ホームページの最後には「全国の皆様へ」という呼びかけが載っている。全国で利用者本位の在宅支援情報ネットワークをつくりたいと考えている人たちに、このシステムのノウハウを公開するためだ。さらに地域での新たな取り組みの連絡をもらえれば、その内容を「在宅支援・草の根ネットワーク」のホームページに掲載する。こうして、宇都宮の試みを全国に広げていきたいと構想している。

高橋医師のもとへは、日本福祉大学や企業、民間のデイサービスなどからシステムについての資料請求の声が届いている。

いずれ自分の住む地域にどんな福祉サービスがあるのかを身近な施設の端末から簡単に知ることができ、サービスを自分で選べるようになるだろう。そ

 

 

 

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