近世までの日本では、病人、老人の介護は家族介護が基本でした。特に古代には、同居して介護するよう法律で義務付けられていました。その代わり、介護する人は税を減免されました。近親者がいない場合は、地縁の者(隣近所の者)が当たることになっていたのです。
明治時代になると、基本的には家族介護ですが、一方で国は病院などの施設も作り始めました。家族介護から施設介護への芽生えです。戦後になると一九六三年に老人福祉法が施行され、特別養護老人ホームなども登場してきます。
一方、一九六一年に国民皆保険がスタートすると、医療需要が高まる見通しとなったため、病院の建設ラッシュが起こりました。国は資金が不足していたため、民間病院の建設を促進し、病院に福祉の機能も持たせ、医療を必要としない人にも社会的入院を容認する形になってきます。