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に分けて認定する事務量は膨大なものです。しかも高齢者の体の状態はどんどん変わりますから、何度も認定をしなければなりません。保険料は納めたのに介護は受けられないという人も出るでしょう。そもそもスタート時の事務処理が間に合うかどうか心配です。

介護認定やケアプラン作成に当たるケアマネージャー(介護支援専門員)は四万人必要だといわれていますが、人材の養成を急ぐ以外にないでしょう。実際、ケアマネージャーの受験資格は広く認められました。例えば鍼灸師(しんきゅうし)や薬剤師にも認められました。

ケアマネージャーになるには、試験に合格し、実務研修を受ける必要がありますが、これまで介護にかかわってきた保健婦やソーシャルワーカーは別として、普段かかわっていない人が試験後に数回研修を受けただけで、きちんとしたケアマネジメントができるかどうか気がかりです。

保険料を納めながら介護を受けられない事態になったら、被保険者の中には病院に逃げ込む人が出てくることも考えられます。そうなると、老人医療費を減らすためという介護保険の当初のもくろみが崩れるでしょう。また本来入院すべき患者が入院できなくなって人権問題にもなりかねません。介護保険はスタートの時に問題点が出そろい、課題が浮かび上がるのです。

 

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補助金で民間企業の促進も

その介護保険の実施は、日本の社会史の中で、どういう位置を占めると考えたらいいのでしょう。

 

 

 

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