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盲導犬は厳しい訓練のもとに育てられ、吠えたり、走り回ったりしない。自分を抑え、主人に対して献身的に尽くす姿には感心させられる。そんな時、つい頭をなでたりしたくなるが、盲導犬にとっていいことではない。まして「食べ物を与える」など言語道断だ。こんな時は温かく見守っていればいいのである。自分を抑えているために極度のストレスにさらされ、短命であると聞いたことがある。そこまでして主人に尽くしているのかと思うと頭が下がる。

盲導犬1匹育てるのに500〜700万円かかるといわれるが、金銭的な問題もさることながら、訓練士が不足している。需要には到底追いつかないのが実状だ。盲導犬がどんなに賢いといっても人間に勝るものはない。「盲導犬の不足は人間が補えばよい」というのが私の考えである。各地にガイドヘルパーの組織が増えつつあるが、これらを利用して障害者もどんどん街に出てきてほしい。こうした風景が当たり前になってこそ「障害者に開かれた世の中」といえるのではないかと考える。

[堀田] みんなの世の中ですから、みんなで、みんなのために開いていきましょう。

 

孫と朝市に参加して

高橋 郁子さん 67歳 茨城県

「障害者作業所建設資金」の一部を自分たちでつくろうと立ち上がった重度の子供さんを持つお母さん趣旨に賛同して、私たちボランティアもお手伝いすることになり、月1回町の広場で開かれる「朝市」に東京から来た3年生になる孫を連れて参加した。真夏の太陽を浴びながら、バラ、カーネーション、わかめ等を売ることになった。孫は汗を流しながら水を汲んだり、値段を付けたり張り切っていた。お年寄りの方がお花を買ってくれると大きな声で「ありがとうございました」というと、「可愛いね」。この小さな売り子にお年寄りもうれしそうでした。「えらいね。また来るか」。他のお店の八百屋さんやそば屋さんがしぼりたての牛乳やスイカを持って来てくれました。

「今日はありがとうね。残ったお花あげるね」。重度のお子さんを持つお母さんは明るく孫にお花をプレゼントしてくれました。このお母さんの明るさに私たちボランティアはいつも元気付けられるのです。「今日

 

 

 

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