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業所へ行くことが自分自身の張り合いになっているし、みなさんから生きるエネルギーをいただいているような気がする"という、ある会員さんの言葉が象徴するように、障害を持つ方々とのふれあいは、私たちに多くのことを気付かせてくれました。純真で嘘や偽りのない素朴な心に接すると、いつも自分自身が恥ずかしくなる思いですし、障害を持って生きることの大変さを実際にこの目で見て、初めて命の重みも教えられた。こうしたことは、実際にやってみないとわからない尊い経験ですね」

 

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「きそがわ作業所」のイベント"ほのぼのまつり"に出展した展示物。

 

丹下さんたちは、共に支え合って生きるということの大切さをこうした活動を通じて少しずつ実感しはじめているというが、その一方で、まだ自分たちの思いだけが空回りしている部分も大きいとも。

何よりショックなのは、当初、ニーズが大きいと予想していた家事援助に対する依頼がほとんど皆無なことだ。

「まだ広報活動が行き届いていないために、ニーズを掘り起こせていないという面もあると思いますが、この辺りではまだまだ、お年寄りの世話は家族がするのが当たり前で、めったなことでは人に助けは求めたくないという考えが根強いんです。しかも、有償の活動はボランティアではないという意見も直接・間接に聞きますし、依頼者の多くも無償を期待している。でも、私たちは有償でもボランティア精神に基づいた温かい心を大切にする活動をモットーにしていますし、有償であるが故に責任のある継続的かつ対等な関係の活動ができるとも信じています。ですから、有償のよさを地域の方々にわかっていただくためにも、今後は老人ホームや町の福祉イベント等に無償ボランティア活動をしな

 

 

 

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