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しょうし、上下関係にもなってしまう。それにできるだけ自立できる部分は任せたほうがいいし、そのほうが生き生きできますよ。痴呆の方はおられるんですか?

小川 お一人だけ軽度の方がいます。「さくら」ができて五年目くらいにかなりひどい状況で特養に行く準備をしていたら、ちょうどそのころマスコミなどで「さくら」をいろいろと取り上げていただくようになって、いっぱいいろんな人が来るようになったら、びっくりするくらい元気になられたんです。

堀田 わかります。痴呆ケアのためのグループホームの効用もまさにそうですよね。

小川 昔民宿をやっていた方で、魚をさばくのがとてもうまいんです。昔のことを積極的にやっていただくと、痴呆の進行が遅れるんですね。他の人に迷惑をかけるわけでもないし、普通に暮らしてます。

堀田 最後に、これからグループホームをやりたいと考えている方に大先輩としてアドバイス、メッセージをぜひ。

小川 今、第二の「さくら」をつくる計画を進めていて、埼玉県も積極的にやってくれているんです。建設省が今年度はじめて、「高齢者向け優良賃貸住宅制度」を作ってくれて、これをぜひ活用すべきですね。そうすれば全国にもっともっと広がると思います。建設費も補助金が国と県から合わせて三分の二出ますし、五室以上なら既設でも新築でも大丈夫です。みんなで少しずつ資金を出して建てるとか、私たちもいろいろ知恵を出し合ってます。

堀田 場所は「さくら」の近くですか?

小川 ちょっと離れて、上福岡というところです。たまたま隣が病院なものですから。今度はできれば二〜三階はグループホーム形式にして、一階は介護保険と関連してショートステイとかデイケアなど近隣の方々も利用できるようなものにしたいと思っているんです。かなり可能性があるので、ぜひがんばりたいと思います。

堀田 それは楽しみです。ぜひまたお話を聞かせてください。ご成功を祈っています。

 

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