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小川 現実的にいえば、ひとつは緊急性のある方。生まれ育ち、なぜこういうところに住みたいのかまで、全部聞かせていただきました。あとは単純に私と合いそうな方。そして私が選んだ方とうまくやっていけそうな方ですね。

堀田 具体的にいいますと?

小川 神経質じゃなくて、おおらかな方。おおざっぱな人のほうがくよくよしないでいいんです。

堀田 完壁主義者はだめ、男性はだめ、好き嫌いが多いのもだめ。なるほど…。

小川 入居してからのほうがみなさん楽しくやってくれていて、来られた時よりずっと元気。それが何よりもうれしいですね。

堀田 もう家族のようですね。

小川 まったくそうなんです。

堀田 周囲に人のぬくもりがあって、自立しながらでも必要な時には助け合えて。グループホームの暮らしの一番いいところですよね。

小川 入居者の一人が体調を崩されて入院し、先日退院して帰って来たんですが、みんなで「お帰りなさい」と迎えてあげて、ああ、つくってあげてよかったなあと、この時つくづく思いました。一人暮らしの人が退院してきたら、その日から自分でご飯を作らないといけないでしょう。お布団も干してあげられる、軟らかいものも作ってあげられる、みんなで助け合える我が家なんですね。

堀田 すてきですね。でも、やっぱり小川さんのような方がいないとうまくいかないような気もしますが。

小川 最後の調整役ということはあるでしょうが、でも単なるお節介な下宿屋のおばさんですよ。四六時中面倒を見ているわけではありませんし、朝「おはよう」といって、夜に「なんかある?」って聞いて。ほとんどいませんから。

 

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堀田 ご家族でご旅行に行ったり留守されることも?

小川 しょっちゅうありますよ。それが私の一つの条件でした。私はみなさんの管理人じゃありません、自由に自立して生活してくださいと。

堀田 なるほど。そのほうがいいんでしょうね。いろいろ手を出すと結局だんだん頼るようになるで

 

 

 

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