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て行った方が一人だけいました。たまたま娘さんの家の隣が空いたんですが、他の理由もあったと思います。

 

夢は第二の「さくら」

堀田 入居者を決める時がひとつのポイントだと思うんですが、みなさんどのようにして集まったんでしょうか? もともとのお知り合いの方とかは?

小川 いえ、みんなバラバラです、特に宣伝もしなかったんですが、不動産屋さんが人づてに聞いて紹介してくれたり。高齢になるとなかなか借りられる家がないですよね。「小川さんという人が老人アパートやるらしいから連絡してみては」と自然に。最後は結局六人募集のところに六四人。

堀田 それはすごい。やはりお困りの方が多かったんでしょうね。その中からどのように選ばれたんですか?

小川 設計から完成まで約一年ありましたので、全部の方々とお一人ずつ私が直接面接しました。ただ怒られそうですが、二〇人いらした男性の方は、最初から申し訳ないけど全員お断りしました。

堀田 それはつらい(笑)。

小川 「いつも男女平等っていってるのに、どうしてだ」って知り合いにもいわれました(笑)。

堀田 理由をぜひ伺いましょう。想像はつきますが(笑)。

小川 夫や子供がせっかく許可してくれた家だし、絶対に失敗はできない、うまくいくにはどうしたらいいかと、とにかくいろいろと考えたんです。するとやはり誰と暮らすか、これが一番大きな鍵でした。先ほどもいったように、協調性が絶対に必要なんです。いろんな施設の例を見ても、男の人は口だけで体は全然動かないし(笑)、特に組織人間で生きてきた人は肩書きのない付き合いが苦手。今回はたった六人だし女性だけに絞ろうと。自分が好きでつくったものだから選べる権利はあるぞと。

堀田 おっしゃるとおりです(笑)。それで残ったのが四四人。何を基準に選ばれたんですか?

 

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