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小川 それはひとつのポイントでした。土地から手当てするんだったらあきらめていたと思います。

堀田 相当な資金が必要ですからね。でも建て替えだけでもまとまったお金がかかりますが、それはどうされたんですか?

小川 建てる家を担保にして銀行からローンで借りました。一生に一回の大決断ですよ。いただいた入居金と蓄えを頭金にして建設費は総額で九五〇〇万円。でも幸運だったんです。当時はバブル絶頂期で、計画をお見せして銀行にお願いしたら「どうぞ、どうぞ」とこれもすんなり。保証人もなし(笑)。夫は普通のサラリーマンなんです。それまでの取引実績といえば給与振り込みと公共料金の引き落としくらいですよ。今でしたらもっとむずかしかったでしょう。

堀田 確かにそうですね。

小川 ただ当時金利が八・四%。これだけは先見の明があったようで、変動金利でお借りした結果、今は二%です。ずいぶん楽になりました。

堀田 お話を聞いていると、いろいろなご苦労もあったと思うんですが、それをプラス思考でどんどん乗り越えられてきたというか。こんなに楽しそうに生き生きと話されたら、ご家族は反対できませんねえ(笑)。

小川 夫も「あんたは好きなことやって元気にしてる」といっています(笑)。ただ「生身なんだから、万一の時にはわかるようにしておいてくれ」と。「借金はなんとか俺たちで払っても、ばあさん六人、訳わからず残されても困るぞ」なんて(笑)。

堀田 すてきなご主人ですよ(笑)。

小川 専門家の方も含めてボランティアでご支援くださる方のおかげで契約書をはじめそれなりにやっていましたので、その辺はまあ大丈夫だろうと、楽天的に。ただ借金だけは迷惑かけられないなと知り合いの保険に入ったんです。そしたら、その会社、倒産しちゃいました(笑)。

堀田 それはそれは…(苦笑い)。

小川 それと入居する際に一応身元保証人を付けたら、その方が先に亡くなってしまったり。

堀田 やはり、やってみないとわからないことはいっぱいありますね。小川さんはまさに先駆者ですから。

小川 右も左もわからずに突っ走

 

 

 

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