ころ市議会議員に推薦いただいて活動しはじめておりまして、老人問題に興味があって、機会あるたびに全国六〇ケ所ほどの有料老人ホーム、特別養護老人ホームとか、ケアハウスを視察したんです。ところが実際に自分で入りたいなあと思うところがひとつもない。
堀田 (うなずく)
小川 有料老人ホームは至れり尽くせり、建物はすばらしかったんですが、でも入居金が高い、公営はプライバシーがない、自分専用の郵便ポストもない、好きな新聞も取れない…。そんな生活は嫌だなと。何より食いしん坊なので食べたいものを食べさせてくれるところがいい。それで当時マスコミでいわれはじめていた北欧に仲間と出かけて、そこで、ある高齢者のグループホームに出会ったんです。
堀田 そこを見て、これだ、と思われた。
小川 ええ。北欧は高福祉高負担ですが、日本とは国柄も違うし、そのまますぐに取り入れられるものでもないですよね。何か参考になるものはと紹介してもらったのがそのホームだったんです。お世話する人と一緒に住んでて、とても自然な雰囲気で。ああ、いいなあと。規模も5LDKに五人、8LDKに八人とこじんまりしてる。このくらいなら自分でもできるんじゃないかなと、これが具体的な感触をつかんだきっかけなんでしょうね。
堀田 そうしていよいよ具体的な計画に移られていった。まずご家族を説得しなければなりませんよね。
小川 そうなんです。恐る恐る「老人の下宿屋みたいなのをやりたいんだけどやってもいい…?」と切り出したら、家族は結構あっさり承諾してくれました。
堀田 ほほおー。それはすごい。
小川 「お母さんは今までやりたいことをやってきたし、止めても無駄だろうからどうぞ」と(笑)。
堀田 それまでの実績がものをいった(笑)。
小川 一応条件付きで「絶対に自分たちを当てにしたり、巻き込まないでくれ」と。でもすごくうれしかったですね。よしやるぞ!なんて(笑)。ちょうど、住んでいた家が老朽化して建て替えようと思っていた時期だったんです。
堀田 土地はお持ちだったわけですね。