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契約の内容について知らされる権利」「商品を選ぶ権利」「安全を保証される権利」「上記の権利を侵害された時に救済される権利」の四つである。現在の介護保険法は商品を選ぶ権利を広げるためにまず規制緩和をしたが、それとワンセットであるべき消費者保護の手立てについては不十分だという。

要介護認定は市町村が実施し、ケアプランを作ってくれるが、実際にどんなサービスをどの事業者と契約して買うかは高齢者自身がすることになる。ただ、契約と自己責任とは表裏一体。介護を必要とするような高齢者に自己責任を伴う契約の当事者能力がどの程度あるのだろう。こうした点があいまいなまま介護の売買契約が結ばれたとしたら予想できないようなトラブルが噴出しても不思議はない。そこで注目しておきたいのが「消費者契約法(仮称)」の新設だ。

 

望まれる市民の声 介護保険をより身近に

国民生活審議会の消費者政策部会は今年初め消費者契約法の内容について中間報告を発表した。消費者契約をめぐるトラブルは民法の「不法行為」として裁判で争うことになるため時間が掛かりすぎる。そこで消費者にとって不利な契約にならないよう消費者契約の基本ルールを作り、被害者をスムーズに救済しようとする法律だ。

消費者金融、パック旅行、割賦販売などについては個別の業法によって消費者保護に関する条項があるが、そうした個別業法では十分に消費者の権利を守れないので、その隙間を消費者契約法でカバーするねらいである。ところが介護保険法には介護の消費者としての高齢者の権利を保護する条項が明らかでない。審議会は九月に法案をまとめ、来年春の国会に提出する予定だが、介護保険関連の消費者保護については有料老人ホーム協会など施設介護事業者を中心に行われたものの、在宅サービス分野については不十分なまま終わっている。消費者側の委員についても委員会では介護保険関連の議論はあまりなされていないようである。

ニッセイ基礎研究所がまとめた『民間シルバーサービスと消費者保護問題』(一九九七年)は「在宅介護などのシルバーサービスは急速に成長してきた産業分野であるため、消費者保護の観点からの検討

 

 

 

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