日本財団 図書館


タを開けてみると、入院患者の付き添いの依頼が数多くあったことも予想外だった。

「付き添い婦が原則廃止になったことから、その分、家族の負担が大きくなっていたんですね。本来なら、看護婦を増員しなければならないのに、それをやっていない。医療現場のお粗末さを目の当たりにして腹が立つばかりでした」

また、専門技術を持った活動者も多いことから、会の方向性について時に議論となるが「みなで方向性を考えながら、今後は、NPO法人の取得をめざしたい」と張り切る菅原さん。

「がんばれる原動力ですか?やはり、利用者の方々の役に立っているという手応えがあるからでしょうね。障害者のお子さんを抱えるお母さまから、いわれたことがあるんです。"もし、私がケガや病気をしたら、この子を施設に入れなくてはいけないと思うと、この一五年間、気を張り詰めて生きてきたけれど、この会ができたおかげで気がラクになった"と。これこそが、私たちがめざしているものだと、思いましたね。それとともに、この一年、さまざまな心ある方たちから支援をいただき、勉強会などを通じて幅広い人脈もつくれた。だからみなさんの期待に応え、継続的かつ安定した活動をしていくためにも、NPO法人の取得をめざしたいんです」

専門的な知識、経験を背景に市民レベルで温かいサービスを提供していこうというキャンナスのような団体は、介護者を抱える家庭の選択肢を増やす存在となる。こうした輪を全国に広げるためにも、今後の活躍に期待したい。

 

028-1.gif

大きなキャンナス看板(写真は菅原さん)

 

028-2.gif

一周年記念講演会・親睦会会場にて

 

平成6年

1月 阪神淡路大震災でアジア医師連絡協議会(AMDA)の一員として活動した菅原さんは、ボランティア精神の大切さを体験。訪問看護の会をつくろうと、勉強をはじめる。

平成8年

9月 地域の防災訓練で知り合った養護学校教員の女性と意気投合し、会の発足に向けて動きはじめる

12月 資格を持ちながら家庭に入っている看護婦たちを発掘するために、新聞各社に手紙を書き、記事として取り上げてもらうよう依頼。これにより、地域に散らばる看護婦たちからの問い合わせが入りはじめる

平成9年

2月 説明会を開催。60名ほどの看護婦が集まる

3月22日 会の趣旨に賛同した40名ほどの看護婦で、『訪問ボランティアナースの会 CANNUS発足!』

 

神奈川県藤沢市に本拠地を置く『訪問ボランティアナースの会 キャンナス』は、近くに頼れる人のいない一人暮らしを続けるお年寄りや、障害者や病気になった家族を抱え、24時間休む間もなく介護をしている人たちをサポートするために生まれた、会員制の在宅福祉サービス団体。仕組みは、双方向性で活動者も利用者もパートナー会員として登録。利用家庭の申し込みに従い、会が活動する人を派遣するというものだが、その多くは元看護婦というのが、同会の大きな特徴。本年7月1日から新しく規約等を変更し年会費は3000円で、利用家庭はほかに運営協力費として1時間につき1600円と、交通費800円を負担。うち400円を会の運営費に充てる仕組みとなっている。

連絡先 〒251-0032 神奈川県藤沢市片瀬376 TEL 0466(26)3980 FAX 0466(27)8280

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION