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の救急法指導員を続けるなど、何らかの形で看護婦の仕事をしてきた。そして、その忙しい日々の中で、祖母や末期がんの義母を自宅で看取るという経験から、在宅介護の大変さを身をもって体験。

そんなことから、「現在、介護で大変な方たちの手助けをしたい」との思いを抱くようになったという。

「今、国内で看護婦の資格がある人たちは、准看護婦も含めると百万人にも達するといわれています。その中で、出産や育児のために現役を退いた潜在的な看護婦は、数え切れないほどいる。今さら病院勤めなどはできないけれど、資格を生かしたいという人はたくさんいるはず。こうした人たちが、病人や障害者を抱える家庭に出向き、専門知識を生かして家族の助っ人を務めるようなシステムがあればいいのにと、考えたんです」

だが、しょせん一人では何もできない。つてもない。菅原さんにとって、この思いはあくまでも"夢"でしかなかった。そんな折、阪神淡路大震災が発生。テレビでAMDA(アジア医師連絡協議会)という国連NGO(非政府組織)が医療ボランティアを募集していることを知った菅原さんは、すぐに連絡を取り、リュックを背負って神戸へと駆け付けた。さらにその後は、旧ユーゴスラビアでも活動。こうした体験でボランティア精神の大切さを痛感した菅原さんは、帰宅後、自分にできることを改めて考えたという。

「そうしたら、やっぱり身近な場所で訪問看護活動をはじめるしかない、という結論に達したんです」

こうして、会の結成に向けて走りはじめた菅原さんは、マスコミを通じて元看護婦たちに参加を呼びかけた。そして、趣旨に賛同し

 

 

 

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