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ービスなどの所定の事業を行い、"労働報酬は受けるが営利を目的としない団体"を「在宅福祉非営利市民事業」と定義し、所在地や実績、構成人員など一定の条件を満たしている団体に対し、市は福祉サービス情報を提供するとともに、市民事業の基本制度づくりを支援することなどが責務として掲げられている。業務委託を積極的に行うことで市は福祉予算を有効に使うことができ、その代価として、市民事業体には実績に応じた支援金が支払われる、としている。プロとしての責任が要求される部分は市民事業体、そうでない部分はボランティアが連携して請け負うというようにきっちりと役割分担し、それによってコストダウンを図る。

「支援金は行政からいただくのではない。市民に対し『私たちが有効に税金を使っています』と胸を張って活動内容と会計を報告する。支援金をもらったからといって、行政に遠慮するつもりもないし不審な点はどんどん追求していきます。市民も行政も、お金を使うことにもっとシビアにならなければなりません。どうすれば有効にお金を使えるのか、税金の使われ方にもこだわらなければならない時代なんです」。小川さんの言葉には市民社会を担う一人としての自覚と責任がにじみ出ていた。

 

市民が行動し選択する社会へ

ボランティア団体が行政に求める役割は、端的にいえば「お金」とそして「情報」であった。お金については、他の行政の話を二、三聞いたが「直接支援よりも後方支援」という傾向が伺えた。また市民の自主性・自発性を大切にしながらバックアップするやり方に変わりつつあるともいう。しかし自主性には必ず責任が伴う。ボランティア団体だからといって甘えは許されない。貴重なお金を外部から得たいのであれば、その使い道、収支報告などはしっかりと情報開示する姿勢が求められる。そうした姿勢を怠れば、出資者や活動を周囲で見守る市民から疑惑の目が向けられてしまう。活動者への信頼が新たな支援の輪の礎となるからである。

市民活動が育っていく中では、従来の行政管理型社会で表面化しなかった問題が多々発生することも予想される。そこで今後求められてくるのが、市民相互によるチェック機能だろう。市民オンブズマンのような仕組みを市民活動にも展開するシステム、さらにまた

 

 

 

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