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アの情報交流の場として提供することなど。ただし、遊休施設がどれほど提供できるかは現在未定であるという。

確かに前号でご紹介したとおり、被災地神戸ではさまざまな噂が飛び交っていた。今回のいくつかの取材を通じても、比較的潤沢に資金を得てきた団体には好ましくない噂もあったが、それが"やっかみ"の域を越えたものなのかどうか今の時点で定かではない。もし、そうした噂をただ静めるためだけに支援を止めるのであれば、あまりに消極的な決断とみられるだろう。特定の団体と癒着しているかのような状況を生むことは当然避けなければならない。しかしその代わりにいったいどんな支援策をつくり、どんな方策を実行するのか。その答えも明確に求められる。

昨年の日本海重油流出事故は記憶に新しいが、三重県では、市民の熱意に応えた県の支援が好評を呼んだ。現地にボランティアに駆け付けようという市民団体の提案を受けて、地元企業が資金を援助。それを県が後方支援する形で、市民を乗せたボランティアバスを現地まで運行した。行政の迅速で柔軟な対応は、後に「災害時のボランティア受け入れワークショップ」というイベントとして結実した。この中で、1]行政は後方支援に徹すること、2]市民活動団体・企業・行政が 互いに得意分野を補い合うこと、3]行政はボランティアを安価な労働力としてみないこと、4]行政・市民活動団体は互いに情報公開することが確認された。

時代の変化と共に行政の支援の仕方も多様化、柔軟化している。だが、どの方法が一番良いと一概にはいえない。それぞれの自治体にあった支援の仕方があるはずだからである「市民社会」という新たな枠組みの前に、行政側も従来の物差しからの脱皮が求められている。

 

市民も行政もコスト意識を持つ

「税金は払った者(市民)のお金。行政のものではないし、ましてや補助金をもらった団体のものでもない」と強調するのは、横浜市にある生活クラブ運動福祉協議会会長の小川泰子さん。この七月、生活クラブを母胎とする神奈川ネットワーク運動が、行政支援と市民活動の新しいあり方を「在宅福祉非営利市民事業支援条例」(素案)として示した。

神奈川県下で予約型の共同購入を展開する生活クラ

 

 

 

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