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安定した活動のために助成を

この春から兵庫県下の仮設住宅は急激に減っている。各地で統廃合が進み、空き地を埋め尽くすようにあったプレハブは次々に壊されていた。住民の恒久住宅への移転が本格化する中で、これまでボランティアの活動を支えてきた資金にも変化が訪れた。

神戸市須磨区で、四〇〜五〇ケ所の仮設住民に対し、中古家具や家電のリサイクル・バザー、配食・引っ越しサービス等を行っている「神戸西・助け合いネットワーク」は今、今後の活動計画に頭を悩ませている。

副代表の宮崎俊則さんによると、現在の活動資金は阪神淡路復興基金と連合からの補助金。去年までもらっていた補助金が打ち切りや大幅カットとなりこの不景気では企業からの助成もむずかしい。「不足分は行政が補助金で補ってほしい」と期待を寄せる。

また、会長の在里俊一さんは「被災住民の環境は大きく変化しているが、仮設が残っている間は住民への支援が必要だし、新たに復興住宅でのコミュニティーづくりという課題も増え経費負担は少なくない」と内情の厳しさを強調、行政の理解を求める。

もともと草の根のボランティア団体は資金基盤が弱いが、震災以後に立ち上がった被災地のボランティア団体の場合、各種補助金・助成金、全国から寄せられた寄付金など他の地域よりも比較的多種の資金ルートを得て、当初から活発な活動をしてきたところもある。しかし震災から三年半余、そうした「支え」が次第に縮小し、改めて活動基盤の弱さを認識させられ、住民のニーズの変化とも相まって、活動の方向性を再構築する必要に迫られている。

 

情報の送り手も受け手も歩み寄りを

行政などの公的な支援金を受けずに活動を続けてきたボランティアグループももちろんある。

神戸市三宮、鯉川筋の小さな果物屋の二階に事務所を構えて、被災者の職探しの手伝いやコミュニティーづくりの支援を行っているのは金田洋士さんと中村恒一さん。被災者として仮設住宅に暮らした経験を生かして、被災者支援財団の設立準備に奔走しているお二

 

 

 

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