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出さない」という方針に徹することが、サステーナブル(持続可能)な福祉の条件だという。

 

ドイツ公的介護保険が福祉団体に与えた影響

公的介護保険は、ドイツの福祉団体にどのような影響を与えたのであろうか。第一に、福祉団体に対する優遇策が縮小された。福祉団体への運営費助成が削減され、逆に福祉団体だけに認められていた建設費助成が、民間営利事業者に対しても拡大された。これらの動きは、福祉団体と民間営利事業者との競争条件をなるべく公平化しようという政策によるものである。

 

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ミュンヘン市内の在宅ケア会社、ミュンヘーナー・フレーゲクライス社の社長、ドイエン氏。

 

第二に、需要拡大などを受けて、民間営利の在宅ケア事業者が、都市部を中心に次々と設立された。介護金庫(介護保険の保険者)との契約では法人格は不要とされたため、新規開業の大半は、看護婦等が独立した個人経営の事業者であった。

たとえばミュンヘン市にあるミュンヘーナー・フレーゲクライス社は、こうした急成長を遂げた民間在宅ケア事業者の一つだ。社長のジャネット・ドイエン氏は、看護婦としてのキャリアを積んだ後、老人ホームの所長を七年間勤め、四年前に介護金庫との契約を結び独立開業した。現在は一二名の職員が、約九〇名のクライアントに対しサービスを実施している。経営は「きわめてうまくいっている」とのことで、都市部での厳しい顧客争奪競争にもかかわらず、病院へのマーケティングなどが功を奏し、満足のいく利潤を確保しているという。

しかし、当然ながらこのようなサクセ

 

 

 

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