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連載 笑う門に福来たれ

 

 

ご意見『江戸のこばなし』より No.3

「お前は、まだ年が若いから親のありがたさがよく解っていないようだが、年老いた親たちは、もっと大事にしてやらにゃあならぬ。世間には親のいない子もたくさんいるというのに、ふた親そろって達者でいるとはありがたいこと。第一、どれほど金があっても金で買えぬのがこの親じゃ」

「また売ろうとしても売れもせんわい」

(「飛談語」(とびだんご)安永二年・一七七三年刊)

 

● 「子を持って、はじめて知る親のありがたさ」といわれる。とはいえ普段は、照れもあるしなかなか素直になれないもの。折しも6月第3日曜日は「父の日」。「母の日」に比べてどうも影が薄い存在だが、たまには直接感謝の言葉を添えて親孝行でも…

 

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● 江戸時代、町人の間で広く愛された「小咄(こばなし)」。短い話の中に人情や世相の機微を取り込みながら、おもしろおかしく結末を結ぶ。世の中ははるかに変われど、当時のこばなしは、時空を越えて現代の私たちにも粋な笑いやぺーソスを届けてくれる。山住昭文氏による著作から毎回連載でお届けする。

● 「江戸のこばなし」(定価1100円) 山住 昭文著

原作の味わいを残しながら、現代の読み手にもわかりやすく手を加えた軽妙な文章の1冊。筑摩書房から好評発売中。

 

 

 

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