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「ちょっとでもいいから話したい…」

堀田 今日は公的介護保険制度と平行して、いかに心の部分を支えるボランティア活動が大切かということを語ってください。私も、講演などでたびたびいっておりますが、行政や企業のえらい方は、「心」とか「ふれあい」というのをなかなかご理解くださらない。ぜひ強力に誌面でPRしていきましよう。

柴田 今年五周年を迎えたんですが、みなさんの感謝の言葉なんか聞くと、本当にやってきてよかったなあと。身の回りのお世話から、買い物、通院介助など、とにかく地域で助け合おうといろんな活動をしてます。でも「掃除なんかいいからちょっとこっちで話を聞いて」なんていうのが多いんですよ。

堀田 そうでしょうねえ。一人暮らしの方なんか、特にそうでしょう。食事を作ってもらっても一人で食べるのは淋しいし、一緒に食べましょうよと。それができるのがボランティアですから。村山さんのところはいかがですか?活動の中でいろいろな実感があると思いますが。

村山 私はふれあいサロンを中心に活動してますが、「ここにしか行くところがない」というお年寄りが結構います。楽しみにしてくれてるんだなあと思うと、こちらの張り合いにもなります。

柴田 本当に。以前お世話していた八五歳のおばあちゃんが亡くなったんです。入退院をくり返されていて、入院すると元気がなくなっちゃう。退院すると私たちがチームを組んで出向いて、話し相手になってとても生き生きとされる。最期はとても安らかなお顔でご家族にも感謝されました。一緒にお見送りもしたんです。人の体は薬や科学的な治療だけじゃないなあと。

 

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堀田 力(ほった つとむ)

1934年京都府生まれ。さわやか福祉財団理事長、弁護士。

 

 

 

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