ここが問題
「財源不足」というけれど
NHK放送文化研究所 鈴木 祐司
-介護保険は自治体財政を圧迫するのか-
介護保険は、昨年十二月に国会で法案が採択され、二〇〇〇年度からの実施が決まっている。しかしこの制度をスムーズに運営するための、福祉施設の建設や人材確保などが不十分な市町村は多く、当制度が十分に機能するか否かが危ぶまれている。こうした自治体の中には、財政が圧迫されるのではないかと恐れて、介護保障に消極的なところが多い。だが、その危惧は果たして本当に当たっているのだろうか。
実は介護保険では、高齢者が多く暮らし高齢者福祉に力を入れている自治体ほど、逆に町の負担は今よりも軽くなる。さらに介護保険は地域経済を活性化する側面も持つ。つまり「財政負担増」の心配は、介護保険の財源システムをよく知らないための杞憂といえる。
では介護保険がはじまると、実際には自治体の財政負担はどう変わるのか。二〇〇〇年までに必要なサービスの大半をすでに実現している山形県最上町の例で検証してみよう。