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1] 「介護サービスの基盤整備」

2] 「要介護者の権利擁護」

3] 「福祉産業による地域経済の活性化」

1]では、介護保険が実施されても介護施設や在宅介護サービスの供給が不足しないようにサービスの質と量を向上させる計画を研究して国や国会に提案する。2]では、介護を受ける高齢者らの人間としての尊厳が守られるよう要介護者の権利擁護システムを研究するため、先進的な自治体や先駆的な諸外国の比較研究をし、望ましい提言をする。3]としては介護サービス拡大による地域経済への波及効果を調査。研究し、福祉を軸とした新しい地域産業策を提言する。

これらを実現するため、それぞれのテーマについて会員と学識経験者から成る研究会が相次いで発足した。いずれにも厚生省や法務省の関係職員がオブザーバーとして参加し、平成十一年三月を目標に報告書をまとめて発表、会員の自治体に配付し、国などに提案する段取りだ。介護保険を実施するための細かい規則は、これから省令、政令によって決めることになっているが、福祉自治体ユニットは、「必ずしも国のいいなりにはならず、研究会の提案をぶつける」(菅原さん)という。自治体職員にとって、直接、役に立っているのは研究会より一足早くスタ-トした研修会。介護保険施行の準備や施行後の円滑な運営のための実務勉強会である。厚生省の担当官が、介護保険の内容や具体的な手順に関する疑問点や不明な部分について説明するので好評である。第一回「介護保険どうつくるか?」は一三〇人、第二回「わがまちの介護をデザインする」は一五〇人と毎回一〇〇人を超える市町村長と自治体職員らが集まり、熱心にメモを取ったり、厚生省の担当官に質問したりしている。

研修会、研究会に引き続いて開く懇親会では、福祉先進自治体の首長らから地域福祉充実の実際を直接尋ねるなど「知恵を貸し合う」生きた情報交換の場として機能している。また厚生省の係官も「介護保険についての前向きの提案や積極的な意見が聞ける」と期待する。

 

 

 

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