そのころから介護を担う人の資格作りに情熱を傾けはじめたと聞きました。
お医者さん、看護婦さん、保健婦さんらケアにかかわる専門職はみんなライセンスを持っているのに、お年寄りの生活の実態と思いや願いをいちばんよく知っているヘルパーにライセンスがないのはおかしい。他の専門職と対等に発言ができるように資格がほしいと訴え続けて一〇年、介護福祉士の資格制度ができました。たかが資格ですが、されど資格なんです。介護という仕事を専門職として位置付けたという意味では高いハードルを超えたと思います。資格ができたということは介護の社会化の一歩がなされたことなんです。資格というのは社会の責任の表現。それはまた介護を受ける人たちにとっては安心マークです。真っ先に試験を受け介護福祉士の第一期生になりました。なったからには夢と希望をかけたこの資格を、もっと価値のあるものにしていこう。そんな思いに駆られ、今度は資格のよりどころになる学問が、絶対必要だと考えました。医師には医学があり看護婦には看護学があり、栄養士には栄養学があり、教師だったら教育学があるというふうに、我々が実際にやっている経験の中から普遍的なものを抽出して理論化していこうと日本介護福祉学会をつくったわけです。また介護福祉士の実践研究ネットワークであ