「あまりの反響でしたから、できる限り全国を回ろうということになりました」(番組担当エグゼクティブ・アナウンサーの伊勢知成好さん)。そして現在まで集いの開催は三五回を数える。さらに平成八年五月からは、独自に季刊誌『ラジオ深夜便』(一冊四七〇円、送料・消費税込み)という活字メディアを持つまでになった。大変な躍進ぶりだが、そこには高齢者が心のコミュニケーションを強く欲する姿が垣間見える。雑誌は書店売りはいっさいせず、宣伝らしい宣伝もしないが、定期購読のみで三万部を発行している。
一九九八年春に発行した第八号には、埼玉県のNさん(四六)からの次のような手紙が掲載されている。
わたしが初めてこの番組を聞かせていただいたのは、いまから二年ほど前のことになります、妻がガンであることを知らされ、どうにも眠ることができずにいた時、偶然に心安らぐ放送を聞かせていただいたのがはじまりです。
Nさんの妻は残念ながら亡くなってしまったことがその手紙には綴られていた。これが放送されると、Nさんへの励ましの投書が次の週に紹介された。そして再びNさんからの手紙が番組に届く。
十一月二三日の放送でみなさまからの心温まるお心づかいをいただき、思わずうれし涙が流れてしまいました。
と、感謝の言葉とともに近況報告が述べられ、
ラジオ深夜便でお心づかいいただきましたみなさま、本当にありがとうございました。うれしい涙って、温かいんですね。これからはおおいにうれしい涙を流させていただきます。
と締めくくっている。
心に浸みる午前四時の声
異例づくめの「ラジオ深夜便」だが、投書の六〜七割が男性であるということも、きわめて珍しい現象だ。
エグゼクティブ・アナウンサーの伊勢知さんはいう。
「芝居や展覧会、レストランやホテルなど、どこに行